仕事の正しい進め方〜成果を出したければ「問い」を徹底して考えよう〜

 

この記事は続編です。

まずはこちらの記事からお読みください。

remy0421.hatenablog.com

 

 

あなたは直属の上司から仕事の依頼を受けました。上司からの言葉は以下の時、この仕事で考えるべき問いは何でしょう?

 

上司「実は、週報の仕様について少し見直したいと思っているんだ。今の紙媒体での提出じゃ、必要な時に情報の取り出しが出来ないし、共有もやりにくいからね。いろんな仕事が増えてきて、フォーマットも見にくくなっているから、今の仕様を変えて、使いやすい形にしたいと思うんだけど、アイディア出してくれない?」

 

この仕事で受けた依頼をこなすには、どのような問いを立てればいいでしょうか。

 

短絡的に考えるなら

「週報の新しいアイディアを考えるにはどうしたらいいか?」

という問いになるでしょう。

 

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しかし、これだと、上司が抱えている今の課題や、どういう成果を出せばいいかが不明瞭ですね。

 

というわけで、先ほど紹介した3つの軸から、もう一度、問いを洗い出してみましょう。

 

「成果」の軸から考える

この仕事の成果は何か。

究極をいうならそれは「週報のアイディアを出すこと」です。

 

・・・これだと、ちょっと漠然としていますね。

具体的にどんな課題があって、この仕事が自分にやってきたのか。目的や理由が問いの中に盛り込まれていません。

だから、週報に関連するアイディアであれば、何でもOK!みたいになってしまいます。

それこそ「こんな課題が出てくるのは、週報があるからだ!廃止しよう!!」という提案もできてしまいます。

 

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しかし、そうではありません。上司は、週報を使って課題を解決したいと思っているのです。そして、先述の話の中で、この仕事を依頼した理由を語っています。

 

上司「実は、週報の仕様について少し見直したいと思っているんだ。今の紙媒体での提出じゃ、必要な時に情報の取り出しが出来ないし、共有もやりにくいからね。いろんな仕事が増えてきて、フォーマットも見にくくなっているから、今の仕様を変えて、使いやすい形にしたいと思うんだけど、アイディア出してくれない?」

 

・・・ 少しまとめてみましょう。上司は、次の3つを問題点としています。

 

  • 必要な情報が取り出しにくい。
  • 共有がしにくい。
  • フォーマットが見にくい。

 

つまり、この仕事の成果は「必要な情報がすぐ取り出せる」「共有しやすい」「見やすい」を兼ね備えた週報を作ること、となります。

 

これを一旦「問い」の形に戻すとこうなります。

「必要な情報がすぐ取りだせて、共有しやすく、見やすい週報を作るにはどうしたらいいか」

 

 

「人」の軸から考える

次に、人の軸を考えてみます。

 

これは、依頼してきた上司の立場を考える必要があります。

これは単に「上司の気持ちになって〜」みたいなふんわりした道徳や倫理の話ではなく、上司の「利害」や「実現したいこと」を考えていけばいいでしょう。 

 

例えば、この上司が300人もの部下を従えている場合、求められているのは「効率よく人を動かす仕組み」や「社内の案件を把握できる仕組み」など、全社的な課題に取り組んでいることが予想できます。

 

さて。この上司が週報の見直しの仕事を依頼してくる理由は何でしょう。一体、週報に何を求めていて、今の状態から見直すべきだという結論に至ったのでしょうか。

 

ここから先は、社内事情によって分析結果が別れるかもしれませんね。

一例として考えられることは、この上司は、部下の仕事の進捗が簡単に把握できるようにしたかったのかもしれません。

なぜなら部下が多すぎて誰が何をやっているかすら把握が難しいのに、まさかの報告書がアナログ仕様で整理ができない。そんな状況を問題視しているとしたら、どうでしょう。

 

今の状態では、誰が何をやっていて、どのタスクがどれだけ進んでいるのか。この上司の課題はそれがわからず、マネジメントが出来ないことだとすると、ここで考えるべきは「週報によって見える化を実現すること」になります。

 

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逆に、5人程度の部下を持つ上司の場合はどうでしょう。

いつも一緒に業務に当たっている上司であれば、見える化についてそれほど深刻には捉えていないかもしれません。一人目の上司と同じ課題を抱えて、この仕事を依頼したわけではなさそうです。

では、この上司は下層のマネジメントをする上で、週報をどういう風に役に立てていきたいと考えているのでしょうか。

 

例えば、営業成績の底上げを課題に取り組んでいるならば、どうでしょう。

部下一人一人の仕事のやり方を分析して、もっと成績が残せるように指導がしたい。指導へと繋がる情報を、週報で収集したいのかもしれません。

 

つまり、この上司が求めている機能は「課題の洗い出し」ですね。

 

こんな感じで、上司が求めているであろう機能は、一体何かを考えてみましょう。そしてそれが、先に考えた成果「必要な情報がすぐ取りだせて、共有しやすく、見やすい週報」と矛盾していないかを必ず確認するようにしましょう。

 

もしそれらが両立し得ないものであれば、それは問いとしては不適切だということです。

 

今回は、一人目の上司から仕事を持ちかけられたとして、問いをもう一度考えてみましょう。

 

上司の実現したいことは「見える化」でした。

なので、ここでの問いはこんな感じになるでしょう。

 

「業務の見える化が可能な週報を作るにはどうしたらいいか」

 

 

「時間」の軸から考える

最後に時間の軸を考えてみましょう。

 

この仕事は、どの程度先を見据えた仕事なのかを考えるのです。今日一日保てばいいような、応急処置的な仕事なのでしょうか。はたまた、会社の何年後の未来を見据えて与えられた仕事なのでしょうか。

 

応急処置を期待されているのか。

抜本的な改革を期待されているのか。

 

それによって全然成果が変わりますよね。

この場合、求められているのは「今までの仕様の見直し」だから、短期の応急処置ではありません。かと言って、どれぐらい長期を見据えて行くのかは良くわかりませんよね。

 

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そういう場合は、あなたの役割を考えてみましょう。

 

あなた自身が、将来的に管理職になることを期待されているならば、5年以上先を見据えた方がいいでしょう。

短期集中で結果を出したいプロジェクト業務であれば、なるべく早く成果を出すことを考えた方がいいでしょう。

 

会社はあなたに何を求めているか。それによって時間の軸は変化します。

 

今回は前者の状態だと仮定して、時間軸の内容を、問いの形に整理してみましょう。

 長期のスパンでの業務に関しては「5年後を見据えて〜」とか書くと、具体的すぎる上に根拠がないので少し変換します。また今回は、上司が300人のマネジメントを行う立場を加味した上で、こんな問いにまとめました。

 

「週報によって、組織の仕組みを変えるにはどうしたらいいか」

 

 

求められている成果に問いを合わせる

 「必要な情報がすぐ取りだせて、共有しやすく、見やすい週報を作るにはどうしたらいいか」

「業務の見える化が可能な週報を作るにはどうしたらいいか」

「週報によって、組織の仕組みを変えるにはどうしたらいいか」

 

3つの軸を考える中で、3つの問いが完成しました。 

どれもちゃんと考えた問いですが、3つもあるとちょっと多いですね。ここからさらにまとめていきます。

 

まず、情報の整理をしてみましょう。まずは最初の上司からの依頼を思い出してみましょう。

 

上司「実は、週報の仕様について少し見直したいと思っているんだ。今の紙媒体での提出じゃ、必要な時に情報の取り出しが出来ないし、共有もやりにくいからね。いろんな仕事が増えてきて、フォーマットも見にくくなっているから、今の仕様を変えて、使いやすい形にしたいと思うんだけど、アイディア出してくれない?」

 

ここから考えてみると、3つ目の「組織の仕組みを変える」ことは、直接は求められていないことがわかります。もちろん、課題として視野には入れないといけません。しかし、上司からの依頼からは少し外れてしまいますね。

 

後の二つはどうでしょう。

「必要な情報がすぐ取り出せて、共有がしやすい」のと「見える化」が何となく似ているような印象を受けます。

一つ目が「情報の活用のしやすさ」、二つ目が「情報の見える化」のことを言っているから、似ていると感じたのでしょう。また「見やすい」も「情報が整理されている様」と捉えることができます。

 

つまり一つ目と二つ目は、週報によって集めた情報の、取り扱い方や在り方を考えているのです。

 

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そこを抑えた上で、一つ目の問いと、二つ目の問いをドッキングさせてみます。

「週報の情報を、可視化・可用化できるようにするにはどうしたらいいか」

 

「活用のしやすさ」と「見える化」を少し難しい言葉で表現してみました。

 

さて。この問いは、上司の課題や要望に応えられる問いでしょうか・・・なんかちょっとずれてしまっている気もしないではない、ですね。

 

なぜなら、上司は「アイディアを出して」と言ったわけです。

なんでわざわざ、間接的にアイディアを出して、なんて言ったのでしょう。「どうすればいいか考えて」と言えば早かったのに・・・。

 

アイディアを出して、とわざわざ依頼した理由は何か。

もしかしたら、自分に求められているのは、直接的な解決案ではなく、現場からみた週報の問題点ではないでしょうか。自分以外にも、いろんな人へアイディアの提出を依頼し、現場の声をまとめたい意図もあるとも考えられます。

 

だとしたら、もっと自分の目線から見た問題点を盛り込む方向に、問いを考えてみます。

 

例えば、あなたの視点から見て「直属の上司から若干放置プレーじゃね?」と思っていたら。つまり、組織としてマネジメントが行き届いていないと感じているならば。

この機会にその問題点を上司に提示するべきです。そして、それを週報で解決できないかと考えてみましょう。

 

そしてさらに適切な形で問いを編集していきます。 

「週報の情報を、組織のマネジメントに反映しやすいように、可視化・可用化できるようにするにはどうしたらいいか」

 

先に出した3つの問い

「必要な情報がすぐ取りだせて、共有しやすく、見やすい週報を作るにはどうしたらいいか」

「業務の見える化が可能な週報を作るにはどうしたらいいか」

「週報によって、組織の仕組みを変えるにはどうしたらいいか」

 

と、今練り直した問い(週報の情報を、組織のマネジメントに反映しやすいように、可視化・可用化できるようにするにはどうしたらいいか)に矛盾がなければ、これを上司からの問いとして設定します。ここからようやくこの問いの「答え」を考えていくことができるのです。

 

 

まとめ

このように検討と再考、依頼との照らし合わせを行います。

全ての側面から見て、納得する問いが出来れば終了。やっと「答えを出す」段階へと移行します。

 

・・・どうですか?面倒だと思いました??

 

でも、最初に出ていた「必要な情報がすぐ取りだせて、共有しやすく、見やすい週報を作るにはどうしたらいいか」を最初から考えていたら、きっと上司が求めている回答を出しきることは難しかったでしょう。

 

なぜなら、上司からの依頼の本質を掴めていないからです。

 

だから意見が的外れになったり、求められていない意見まで言ってしまったりするんです。一生懸命作った資料が、ダメの一言で終わるのは、最初の「問い」を考える作業を怠っているからです。

 

面倒でも、できる人はここを怠りません。怠ると、逆に面倒なことになると知っているからです。  

 

あなたは問いに向き合うことはできているでしょうか。

もし、そこまでできていなければ、紹介した「成果」「人」「時間」の軸から、問いを設定してみてはいかがでしょう。